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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(あ)1462号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人藤本秀雄の上告趣意第一点は、事実誤認の主張であり(なお、原判決が論旨摘示のような判示をしていること並びに被告人川上の司法警察員及び検察官に対する各供述調書などによると、同被告人が下り九五九七号貨物列車の通過を確認したものと認められることは、所論のとおりであるが、本件は、下り準急五〇五号旅客列車の追突事故に関するものであり、被告人川上の原判示注意義務違反も右事故発生の一因をなしているのであるから、原判決に所論の事実誤認があっても、判決に影響を及ぼすものとは認められない。)同第二点は、単なる法令違反の主張に帰し(なお、列車乗務員の信号誤認とともに本件のごとき高速度専用軌道列車等の運行に際し、安全運行の職責を有する地上勤務者である運転係川上被告人及び信号係中山田被告人両名の本件過失が相競合して本件事故発生の原因をなした旨並びに川上被告人の補助者松尾勝及び中山田被告人に代る橋爪信号士にも本件事故発生につきその一因があるとしても、これがため両被告人に刑事責任なしとする理由は発見することができない旨の原判示は、相当である。)、同第三点は、事実誤認の主張にほかならないものであり(なお、原判決が被告人川上、同中山田両名の本件各業務上の過失と本件五〇五号列車の追突事故との間に因果関係があるとした判断は、正当である。)、同第四点は、量刑不当の主張であって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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